SAYi JOURNAL
正常位のペニスは体内で「ブーメラン形」だった? MRIが明かした意外な身体の仕組み
「ペニスが長ければ、奥まで届く」「腟が短いから痛い」。セックスの相性について、こんな話を聞いたことありませんか?
ところが1999年、オランダの研究者たちが性交中の男女をMRIで撮影したところ、なんとも意外なものが写っていました。
正常位のペニスが、体の中では「ブーメラン形」に見えたんです。
えっ、まっすぐじゃないの? と思いませんか。
今日は、このちょっと変わったMRI研究をきっかけに、ペニスと腟の相性は本当に「長さ」で決まるのか、身体の仕組みから考えてみます。
最終更新:2026年10月13日

セックス中の身体をMRIで撮影した研究があった!
まず驚くのが、この研究の方法です。
1999年、オランダの研究チームは、8組のカップルと3人の女性に協力してもらい、MRI装置の中で性交や性的な刺激を行ってもらいました。
MRIといえば、病院で大きな筒の中に入って撮影する、あの検査装置です。
その中でセックスをしてもらうなんて、研究者も参加者もなかなか大胆ですよね。
合計13回の実験で、研究者たちは性交中の骨盤内を撮影しました。
そこで確認されたのが、正常位におけるペニスの意外な形です。
MRI画像では、ペニスがまっすぐな棒ではなく、ブーメランのような輪郭を描いていたんです。
ただし、ペニスそのものが途中で急激に折れ曲がっていたわけではありません。
体の外から見えている部分だけでなく、骨盤内に続く根元まで含めた全体の輪郭が、ブーメランのように見えたということです。
研究では、全長のおよそ3分の1が体内の根元に相当すると説明されています。
普段、外から見えている部分だけを「ペニスの長さ」と考えがちですが、身体の構造はもっと立体的なんですね。
腟も、ただのまっすぐな筒ではなかった
もう一つ、MRIで観察されたのが女性側の身体の変化です。
性的な興奮に伴い、子宮が上がり、腟の前側の壁が長くなる様子が確認されました。
つまり、挿入する側だけでなく、受け入れる側の身体も、いつも同じ形をしているわけではないんです。
考えてみれば、身体はプラスチックの筒ではありません。筋肉や血管、周囲の臓器などが関わる、生きた組織です。
骨盤の角度が変われば、身体同士の位置関係も変わります。
同じ二人でも、姿勢や動き方によって、触れる場所や圧力が変わることは十分考えられます。
もちろん、このMRI研究は少人数で、特殊な撮影環境で行われたものです。すべての体位で同じ形になると証明したわけではありません。
それでも、ペニスと腟を「まっすぐな棒と筒」と考えるイメージが、実際の身体とは違うことが分かります。
腟の長さは5〜13センチ。でも性機能との関係は?
では、腟の長さ自体はどれくらい重要なのでしょうか。
2010年、米国の研究者たちは、40歳以上の女性505人を対象に、腟の大きさと性機能の関係を調べました。
すると、腟の全長には5〜13センチという幅がありました。
かなり個人差がありますよね。
ところが、性的に活動している女性のうち、質問票で性機能が正常範囲だった人と、問題が示された人を比較しても、平均の腟長に統計的に明確な差は認められなかったんです。
つまり、この研究では「腟が長いほど性機能が高い」という関係は確認されませんでした。
ただし、これは特定の年齢層を対象にした観察研究です。長さが快感や痛みに一切関係しない、と証明したものではありません。
それでも、身体の寸法だけで性生活の満足度を決められるほど、人間の身体は単純ではなさそうです。
「身体の相性が悪い」は、ちょっと大ざっぱすぎる?
例えば、挿入すると奥が痛い女性がいたとします。
「彼のペニスが長すぎるから、私たちは身体の相性が悪いんだ」と考えるかもしれません。
でも、ここまでの研究を踏まえると、別の見方もできます。
同じ長さでも、角度や姿勢、動く方向によって、身体のどこに圧力がかかるかは変わります。
入口が痛いのか、奥が痛いのか。こすれる刺激が嫌なのか、押される感じが嫌なのか。
「痛い」という一言の中にも、いろいろな違いがあるんです。
例えば、「奥まで入ると痛いから、もう少し浅くしてほしい」と伝えられれば、相手も何を変えればいいのか分かりやすくなります。
逆に「なんとなく合わない」だけでは、相手もどうしたらいいか分からないかもしれません。
もちろん、痛みを我慢して続ける必要はありません。繰り返す痛みや強い痛みには、体位だけでなく身体的な原因が関わる場合もあります。
同じ二人でも、昨日と今日で違う?
ここで、もう一つ面白いことがあります。
昨日は気持ちよかったのに、今日は同じことをしても気持ちよくない。そんな経験、ありませんか?
身体は毎日まったく同じ状態ではありません。
疲れ、緊張、性的な興奮、ホルモンの変化などによって、感じ方が変わることもあります。
しかもMRI研究で見たように、身体の内部では、外から見えない位置や形の変化も起きています。
だから、「前は大丈夫だったじゃん」という言葉だけでは、今日の身体の状態は説明できないんですね。
前回うまくいった体位が、今回も必ず合うとは限りません。
これを「相性が悪くなった」と考えるより、その日の身体に合わせて変えていくほうが、自然なことなのかもしれません。
研究を読んで、いちばん面白かったこと
今回のMRI研究を読んで、いちばん驚いたのは、やっぱりブーメラン形のペニスです。
でも、それ以上に面白いのは、私たちが身体の相性を、ずいぶん単純な図で考えていたことかもしれません。
ペニスは何センチ。腟は何センチ。だから合う、合わない。
そんな定規のような考え方では、身体の中で実際に起きていることを説明しきれないんです。
次に「身体の相性が悪いのかな」と感じたら、少しだけ質問を変えてみてもいいかもしれません。
「長さが合わないの?」ではなく、「どの角度だと気持ちいい?」「どこに当たると痛い?」。
1999年の研究者たちがMRIの中で見つけたブーメランは、セックスを長さだけで考える私たちのイメージを、ちょっと曲げてくれる発見だったんですね。
出典URL:
資料の確認日:2026年10月13日
- 1.Schultz WW, et al.(1999) Magnetic resonance imaging of male and female genitals during coitus and female sexual arousal. BMJ, 319, 1596–1600.
- 2.Schimpf MO, et al.(2010) Does vaginal size impact sexual activity and function? International Urogynecology Journal, 21, 447–452.
- 3.Suh DD, et al.(2004) MRI of female genital and pelvic organs during sexual arousal.
- 4.Cleveland Clinic Dyspareunia(Painful Intercourse).