SAYi JOURNAL
古代インドの性愛書に「恋の損益計算」があった!? 愛だけじゃ生きられないのは昔も同じ?
「好きなら損得なんて考えない!」
恋愛では、よく聞く言葉ですよね。でも、ちょっと待ってください。好きな人に会うために何時間も移動する。食事代を払う。予定を合わせる。相手の機嫌を気にする。恋愛って、実際には時間もお金も、かなり使うものです。
実は、約1700年前の古代インドには、そんな恋愛の損得を真剣に考えた本がありました。しかも、あの有名な『カーマ・スートラ』です。
こんにちは、NPO法人SAYi代表理事のキヨです☺
最終更新:2026年10月10日

カーマ・スートラって、体位の本じゃないの?
カーマ・スートラと聞くと、さまざまなセックスの体位が描かれた本を想像する人が多いかもしれません。
ところが、実際に内容を調べると、ちょっと驚きます。
この本は全部で7巻。性交そのものを中心に扱うのは第2巻で、それ以外には結婚、日常生活、妻との関係、遊女の仕事など、かなり幅広い内容が書かれています。
つまり、単なるセックスの技術書ではなく、当時の社会における愛情、欲望、人間関係、生活の知恵などを扱った本だったんですね。
そして、特に面白いのが第6巻。
ここには遊女が相手をどう選び、どう収入を得て、どう関係を終わらせるかまで書かれています。
現代でいう恋愛指南書というより、仕事のマニュアルに近い部分まであるんです。
恋愛の「利益」と「損失」を計算する!?
第6巻の最後には、なんとも現実的な章があります。
現代英訳の章題は「利益と損失、結果と疑いの計算」。
性愛書に、まさかの損益計算です。
しかも、ここでいう利益は、お金だけではありません。財産、宗教的な徳、快楽などに分けて考えられています。
さらに、目先では得をしても、将来大きな損失につながる可能性まで検討しているんです。
これ、なかなか鋭くないですか?
例えば、目の前の相手から高価な贈り物をもらえても、その関係を続けることで別の大切なものを失うかもしれない。
反対に、今すぐ利益にならない関係でも、将来の可能性があるかもしれない。
もちろん、これは古代インドの遊女という特殊な立場を前提にした議論です。現代の恋愛にそのまま当てはめるものではありません。
でも、人間関係には目に見える利益と、見えにくい代償がある。そんなことを1700年ほど前から考えていたのは面白いですよね。
「愛しているなら我慢できる」は本当?
ここから少し現代の話をしてみましょう。
例えば、恋人に会うために毎回片道2時間かけて移動している人がいたとします。
最初は、会えるだけで嬉しい。
でも、半年、一年と続いたらどうでしょう。交通費もかかるし、仕事の予定も調整しなければいけない。疲れていても、会わないと相手が不機嫌になるかもしれない。
それでも「好きなんだから、そんなこと気にしちゃダメ」と思ってしまう。
ここで面白いのは、恋愛ではなぜか「負担を数えること」が悪いことのように扱われやすい点です。
仕事なら、拘束時間や報酬を考えるのは普通。友人との付き合いでも、いつも自分だけが支払っていたら気になるでしょう。
ところが恋愛になると、急に損得を考えないことが美徳になったりします。
もちろん、何でも金額に換算する恋愛は窮屈でしょう。
でも、負担を数えないことと、負担が存在しないことは別なんですよね。
損得を考える恋愛は、冷たいのか?
ここで一つ、考えてみたいことがあります。
恋愛で損得を考える人は、本当に愛情が薄いのでしょうか。
例えば、夫婦の一方が毎日家事をして、もう一方は何もしない。家事を担当している人が「もう少し分担してほしい」と言ったとします。
すると「家族なんだから、損得で考えるなよ」と返される。
でも、それってちょっと都合がよくありませんか?
損得を考えないことを求めている側が、実は一番得をしている場合もあるわけです。
これはお金だけの話ではありません。
時間、自由、体力、精神的な余裕。こうしたものも、人間関係では少しずつ使われています。
古代のカーマ・スートラは、現代の夫婦関係を説明するために書かれた本ではありません。それでも、利益だけでなく損失や将来の結果まで考えるという発想は、今読んでもなかなか刺激的です。
恋愛にも、見えない請求書がある
今回、カーマ・スートラを調べていて面白かったのは、古代の人々が恋愛や性愛を、必ずしもロマンチックな理想だけで考えていなかったことです。
好きという感情もある。快楽もある。でも、その裏にはお金や生活、立場や将来の問題もある。
考えてみれば、今の恋愛だって同じですよね。
もし恋愛の損益計算書を作るとしたら、あなたは何を書きますか?
一緒にいる楽しさ、安心感、笑い合える時間。反対に、我慢していること、諦めたこと、使っている時間やお金。
全部を数字にする必要はありません。でも、書き出してみると、自分がその関係に何を求めているのか、意外な発見があるかもしれません。
それにしても、1700年ほど前の性愛書に「恋の損益計算」が登場するとは。
古代インドの人たち、思っていた以上に現実的だったようです(笑)。
出典
資料の確認日:2026年10月10日