SAYi JOURNAL
仲良し夫婦は休日も一緒? 1,187組の研究が「過ごした時間」より注目したもの
「休日くらい夫婦で一緒に過ごしなよ」。そんなことを言われたら、毎週別行動の二人は不仲なのでしょうか。実は夫婦1,187組を調べた研究では、一緒に過ごした時間の長さより、その時間をどう感じていたかのほうが結婚満足度と強く結びついていました。今日は「同じ休日を過ごす=仲良し」という、ちょっと窮屈な思い込みを見直してみます。
こんにちは、NPO法人SAYi代表理事のキヨです☺
最終更新:2026年10月17日

夫は釣り、妻は映画。これって別居の予行演習?
土曜の朝、夫は早起きして釣りへ。妻は午後から一人で映画館。夜に帰ってきて「釣れた?」「映画どうだった?」と話しながら夕飯を食べる。
これで二人が満足しているなら、わざわざ予定をそろえる必要があるでしょうか。
一方、毎週末必ずデートしている夫婦でも、片方は「本当は家で寝ていたい」と思っているかもしれません。インスタグラムにツーショットが増えるほど、仲が深まるわけでもありませんよね。
つまり、二人が何時間一緒だったかを数えても、本人たちが楽しかったかは分からないんです。
1,187組を調べたら「量」より「満足」
2014年に学術誌で発表された米国の研究では、夫婦1,187組、計2,374人について、二人で行う余暇の量、余暇への満足、結婚生活への満足を分けて調べました。
そこで目立ったのが、共同の余暇に費やした量より、共同の余暇に対する満足のほうが、結婚満足度との関連が強かったという結果です。
ここでいう余暇には、ふだん一緒に楽しむような活動と、旅行や特別な体験のように変化のある活動があります。研究は、どちらかをゼロにしていいという話でもありません。むしろ両方の種類の共有体験が関わる可能性も指摘しています。
だから「うちは共通の趣味がないからダメだ」と落ち込まなくていいし、「一緒にいる時間なんて無駄」と開き直るのも違うんです。
たまの温泉旅行もいいけれど、夕食後に一緒にお茶を飲む15分だって、二人が楽しければ立派な共有時間。大事なのは、時間割を埋めることではないんですね。
ちなみにこの研究は、二人が時間を共有すれば必ず満足度が上がると証明した実験ではありません。「満足している夫婦だから共有時間も楽しい」という方向も考えられます。
さらに別の研究では、お金の余裕で結果が変わった
もう一つ、興味深い研究があります。2024年に掲載された論文は、米国の新婚夫婦1,382組を、複数回の調査データで追いました。
調べたのは、二人で過ごす余暇が、家計の苦しさと結婚生活の満足・継続意思の関係にどう関わるか。結果は、「一緒に遊べばお金のストレスも乗り越えられる」という単純なものではありませんでした。
高所得層では、共同の余暇が金銭的ストレスと夫の結婚へのコミットメントの関係を和らげる方向に働いた一方、低所得層では逆向きの関連も観察されました。ただし、こうした違いは主に所得と共有余暇が極端な水準にある場合に限られます。
つまり、豪華な休日を増やすことが、誰にとっても正解とは限らない。ホテル代や外食代が気になる家庭に「夫婦円満のため毎週デート!」なんて言ったら、むしろ胃が痛くなりそうです。
お金を使わずに一緒に散歩するだけでもいいし、今日は別々に休むほうがありがたい日もある。大切なのは、その家の現実に合っているかどうかです。
「自由にしていいよ」で、誰かが自由を失っていない?
ただし、別行動を美談にする前に、一つ確認したいことがあります。
日曜、夫は趣味のサッカーで朝から夕方まで外出。妻は家で子どもと過ごしながら、洗濯を三回、昼食と夕食の支度。帰宅した夫が「お互い好きな休日を過ごせてよかったね!」と言ったら……。
いや、ちょっと待って(笑)。
それ、二人とも自由時間だったのでしょうか。
もちろん夫婦の役割は逆でも同じです。片方の趣味が、もう片方の無給の仕事によって成立しているなら、「うちは別行動派」で済ませるのは少し乱暴です。
逆に、家事も育児も交代で受け持ち、互いに一人の時間を確保できているなら、週末が別々でも気持ちよく過ごせるでしょう。
問題なのは別行動の回数ではなく、「誰が休んで、誰がその休みを支えているか」なのかもしれません。
共通の趣味を作るより、帰宅後の会話を一つ
一緒に楽しめるものがないと悩む夫婦に、無理やり共通の趣味を探す必要はないと思います。
映画好きと釣り好きなら、映画館と釣り場を交互に我慢するより、それぞれ楽しんで帰ってきて話すほうがいい場合もあるはず。
もちろん、片方が本当は一緒に過ごしたいのに、もう片方が毎週断っているなら別の話です。「一人の時間は必要。でも月に一度は一緒に出かけたい」。こんな希望なら、趣味をそろえなくても話し合えます。
「休日は一緒にいるべき?」より「今週はどんな時間がほしい?」。これなら、二人の答えが毎週変わっても不思議ではありません。
次の週末、別々の予定を立てる前に、一つだけ聞いてみませんか。
「そういえば、あなたの自由時間っていつ?」
案外、これまで数えていなかった休日の時間が、そこから見えてくるかもしれません。
出典URL
資料の確認日:2026年10月17日
- 原著論文・Taylor & Francis
1.Ward PJ, Barney KW, Lundberg NR, Zabriskie RB.(2014) “A Critical Examination of Couple Leisure and the Application of the Core and Balance Model.” Journal of Leisure Research, 46(5), 593–611. 米国の夫婦1,187組、計2,374人を対象に、共同余暇の量、共同余暇への満足、結婚満足度との関連を検討した研究。 共同余暇の参加量よりも、その余暇への満足のほうが結婚満足度を強く予測する結果でした。また、日常的な共有活動と変化のある共有活動の双方が関わる可能性を指摘しています。 質問紙による関連研究であり、別行動や共同活動の因果的な効果を直接証明したものではありません。 DOI:10.1080/00222216.2014.11950344
- Brigham Young University・研究紹介
- 原著論文・Wiley Online Library
2.Totenhagen CJ, Li X, Wilmarth MJ, Archuleta KL, Yorgason JB.(2024) “Do couples who play together stay together? A longitudinal dyadic examination of shared leisure, financial distress, and relationship outcomes.” Family Process, 63(1), 210–227. 2023年2月17日オンライン公開、2024年3月号掲載。 米国の異性間の新婚夫婦1,382組を対象とする縦断研究。 共同余暇が金銭的ストレスと関係満足・コミットメントにどう関わるかを分析し、所得水準によって関連が異なることを報告しました。 高所得層では共同余暇が夫のコミットメントを保護する方向の関連が見られた一方、低所得層では逆方向の関連も観察されました。ただし、顕著な交互作用は主に極端な所得・共同余暇水準で確認されたもので、一般の夫婦すべてに当てはまる結果ではありません。 DOI:10.1111/famp.12869
- 原著論文・PubMed